現物取引の特徴について

前回は株式投資の形態として「現物取引」と「信用取引」という2種類のやり方があります、という話をしました。

それぞれの注文にはそれぞれメリットとデメリットがある訳ですが……

株を始めたばかりの方や、純粋に株主優待だけを楽しみたい方であれば、現物取引だけに集中する方が良い。

そんな個人的な意見も書きましたが、何の根拠もなくそんなことを書いてもあまり納得はされないと思います。

そんな訳で、今回は現物取引が持っている特徴について、特にメリットとデメリットについて書いてみます。

もちろん現物取引だけ説明しても中途半端なので、信用取引のメリットとデメリットについてもこの後で説明します。

それらの特徴やリスクなどを踏まえて、自分にはどんな取引があっているのかを考えてみて頂ければと思います。


■現物取引のメリット

現物取引で株を買うということは、その会社の株券を自分で保有している株主になったことを意味します。

単純な話ですが、これがまずは現物取引の大きなメリットだと言えます。

株主優待と配当金をしっかりと受け取ることが出来る、というのはやっぱり良いものです。

株を買う目的は色々とあると思います。

例えば単純にその会社を応援したいと思っている場合、株主優待が欲しい場合、単に値動きによる差額で利益を出したい場合。

まあ目的は色々ですが、少なくともその会社が好きで応援したいと思っている方であれば、現物取引で株を買うのが正解だと思います。

そういう株の買い方もアリだと私は思ってます。

個人で株を買ったとしても、会社が発行している株券から考えれば微々たるものになるでしょう。

でも、割合としては確かに少なくても全くのゼロではないですから、株を保有する意味は絶対にあります。

その会社で働く社員がやっている「持ち株会」なども、基本的には同じような考えじゃないかな。

持ち株会というのは、毎月の給料から少しずつ自社の株を買っていく、というスタイルで運営されています。

頑張って働いて会社の株価を上げれば、株主でもある自分の利益にもなる、というシステムです。

もちろん会社の業績と株価は完全にイコールではないですけど、社員のモチベーションを上げる意味では有効ですよね。

まあ海外のストックオプションなどに比べれば、非常に地味ですけど。

また、現物取引のメリットとしてもうひとつ考えられるのが、どんなに失敗をしたとしても資金がゼロになるだけ、という点。

例えば株価300円の株を1000株現物で購入したとすると、手数料などを考えなければ30万円の投資になります。

その後その会社が倒産して、株価が1円になってしまったとしても、約30万円の損失で済みます。

まあ30万円でも痛いですけど、要するに自分が投資用に準備した資金がなくなってそれで終わり、ということです。

現物投資をしていれば、自分がとれるリスクの分だけ用意した資金で、安心して投資をすることが出来る。

これだけを読んでもあまりメリットに感じないかも知れませんが、後で説明する信用取引の特徴とセットで覚えておけば良いと思います。

■現物取引のデメリット

現物取引のデメリットとしては、どんな状況であってもまずは株を買う必要がある、という点が挙げられます。

株価は基本的に上がったり下がったりする訳ですけど、下がっている流れの中でも「買い」から始めなければならない。

株価がある程度の大きな流れとしてある中で、買い注文しか入れられない、というのは結構厳しいんです。

実際には、買うタイミングでなければ買うべきタイミングになるまで待つ、というのが正解なんですけども。

この「注文に柔軟性がない」というのは、実際に株式投資をやってみると、結構ツライものだったりします。